北海道地震から6日で1カ月。厚真、安平、むかわ各町と北広島市では、合わせて約440人が避難所で暮らしている。先の見通しははっきりせず、余震への不安も大きい。最低気温が零下20度を下回ることもある冬の到来も近づいている。
町民36人が亡くなった厚真町では6日正午、献花台前で黙禱(もくとう)が捧げられた。だが、7日に台風の到来が予想されているため、午後には、献花台は撤去された。
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北海道で震度7、道内の被害状況は
小学校など7カ所に設けられた同町の避難所には114世帯274人が暮らしている。
「水も電気もまだ来ない。困ったもんだ」。夫婦で避難所に身を寄せる石崎数夫さん(78)は5日夜、疲れた表情を見せた。
地震で崩れ落ちた土砂は隣家を押し流し、石崎さん宅の玄関先で留まった。家は無事だったが、損傷した水道管は土砂やがれきの下にあり、復旧は見通せない。電線も断たれた。
毎朝約4キロの道のりを車を運転して自宅に向かい、片付けをする。日暮れとともに避難所に戻って段ボールベッドの寝床に就く。「雪が積もれば運転も難しい」
町役場の南に広がる美里地区の男性(85)は、築80年超の自宅が全壊と認定された。床は傾き、扉も閉まらない。だが、地震からまもなく心労で倒れ入院した妻(83)が戻ったこともあり、自宅に残っている。「家にいて大丈夫かわからないけれど、妻も『ここがいい』と言うし、避難所で世話になることもできない。仮設(住宅)に入りたいが、あふれてしまったらどうしたらいいか」
町によると、10月末に85戸完成する予定の仮設住宅への申し込みはすでに113件。全壊認定された住宅は192戸に上る。公営住宅やみなし仮設の計38戸はすでに埋まった。仮設住宅などの不足が見込まれるのは、474戸が全半壊した安平町も同様だ。確保できたのは計82戸にとどまる。
一方、建設する仮設住宅が25戸なのに対し、5日に締め切った申し込みが16件だったむかわ町。5日朝、震度5弱の余震が襲った。避難所にいた女性(57)は、震えと涙が止まらなくなった。
避難後すぐに眠れなくなり、体調を崩して休職中だ。医師には「うつ病の疑いがある」と言われた。自宅は一部損壊の認定で、仮設住宅には入れないが、自宅に帰るのも怖い。「いつまでも避難所で世話になるわけにもいかない」と思うが、お金の問題も頭をよぎる。「自宅の修理などにもお金がかかるし、灯油も高い。冬を越せるか心配」
北海道は、3町で計200戸の仮設住宅の建設を見込み、補正予算に盛り込んだ。寒さ対策を備えた「北海道仕様」で、東日本大震災などの被災地と比べて、壁の断熱材は2倍の厚みだ。天井と床にも断熱材を敷き、二重窓なども備えるという。