石油元売り2位の出光興産と同4位の昭和シェル石油は16日、2019年4月の経営統合後の新体制を発表した。取締役(社外を含む)の数は両社5人ずつとバランスに配慮し、統合に反対していた出光創業家側が推薦する2人も加え、融和を図る。
両社はこの日、昭和シェルが出光の完全子会社となる株式交換の契約を結んだ。昭和シェル株1株に対し出光株0・41株を割り当てる。「出光興産」の商号は維持され、昭和シェルは来年3月27日に上場廃止になる見通しだ。
新たな出光の社長は、現在の出光の木藤俊一社長(62)が引き続き務める。また、統合を主導した出光の月岡隆会長(67)と昭和シェルの亀岡剛社長(61)は、代表権のある会長と副会長に就く。
一方、出光の創業家側からは、出光昭介名誉会長(91)の長男の正和氏(50)が非常勤の取締役に就く。正和氏は、出光の大株主でもある創業家の資産管理会社の社長を務めている。加えて、創業家側の弁護士も社外取締役に就任する。両社は12月18日に臨時株主総会をそれぞれ開き、経営統合と新たな出光の取締役選任案の承認を得る。
両社の経営統合は早ければ16年10月にも実現するはずだったが、出光創業家の昭介氏らの反対で迷走し、2年半も遅れた。この間の17年4月には、JXホールディングス(HD)と東燃ゼネラル石油が経営統合し、売上高が10兆円を超えるJXTGHDが発足した。
一方、出光と昭和シェルの売上高は合計で6兆円弱と、JXTGHDの背中は遠い。統合後の3年間で投資する5千億円のうち、1200億円を再生可能エネルギーや有機ELなどの高機能材料、電力事業などに使い、事業の多角化を急ぐ。16日に東京都内で記者会見した木藤氏は「JXTGHDにはない海外での成長事業の展開で、昭和シェルの社員にフルに活躍してもらえる」と話した。(桜井林太郎)