インターネットによる通信販売が盛んになり、注文した衣服などを宅配便で受け取る機会が増えました。品物を傷つけることなく、段ボール箱から簡単に荷ほどきしたい――。そんなニーズに応えようと、便利なグッズが出ています。
きりとりトレンド 話題の商品を紹介
文具用のカッターやはさみを100種類以上そろえる東急ハンズ梅田店(大阪市北区)。「段ボールの粘着テープを簡単に切れるカッターなどはないか?」。荷ほどきグッズの照会が増えたのは昨年からだ。売り場担当の中前謙二さん(48)は「ネット通販の購入客からの問い合わせが多い」。店内に特設コーナーを構えられないか、と検討されているほどだという。
国内では宅配便の取り扱いが急増している。国土交通省によると、フリーマーケットアプリやネット通販の普及で、2017年度の取扱量は前年度比5・8%増の42億5133万個。ここ5年間で約6億個増えるとともに、段ボールの使用も右肩上がりだ。全国段ボール工業組合連合会のまとめでは、18年の段ボール生産量は144億平方メートルと9年連続で増える見込みで、通販向けが好調だという。
文具大手のコクヨは、ネット通販などで届いた段ボールの荷ほどき方法について、約2600人を対象に調べた。カッターとはさみを使う人が全体の約6割を占めたものの、「中身が傷つきそう」などの不満を抱えていることがわかった。そこで刃先がカッターになり、はさみとしても使える商品を開発。「昨年8月の発売以降、順調に売り上げが伸びている」(広報)
こうしたグッズはカッターを手がけるメーカーだけでなく、文具大手も注目。油性マーカーのキャップを凸型にした商品も登場するなどし、メーカー各社が便利さを追求している。(辻森尚仁)
カッターにもなる二刀流
コクヨが手がける「ハコアケ」は、はさみとカッターの両方の機能を備える。はさみの柄についたボタンをスライドさせると、先端から1mmほどの刃があらわれ、カッターのように段ボール箱の粘着テープなどを切ることができる。商品の袋やタグを切る場合ははさみを使える。700円。
水平にあてて切れます
デザインフィルの「ダンボールカッター」は丸形で、さびにくいセラミック刃を本体に収納できる。本体は180度開くことができ、平らな部分を水平にあてて切れば新聞などの切り抜きにも便利。背面がマグネットになっているため、すぐ使えるように金属製の扉などにつけておける。860円。
キャップ先端で切れます
ゼブラは8月、油性マーカー「マッキーワーク」を売り出した。キャップ部分についたプラスチック製の黄色い凸型部品で、粘着テープを切ることができる。指を切ったり、商品を傷つけたりする心配がないといい、油性インクなので伝票に記載された個人情報を塗りつぶせる。180円。
ギザギザで折れにくい
長谷川刃物の「開封のこカイちゃん」は、ギザギザの特殊な刃でカッターと違って刃が折れにくいのが特徴だ。もともとは子どもの段ボール工作道具として売り出されたが、物流センターや店舗倉庫などで使われるようにもなった。ネット通販の普及で一般家庭での利用も増えている。360円。
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東急ハンズ梅田店の取扱商品を中心に選びました。価格は税抜き希望小売価格(きりとりトレンド)