「今のところとても静かだ。ただ、政権軍がいつ攻めてくるのかと皆おびえながら状況を見守っている」
内戦中のシリアで、反体制派にとっては最後の大規模拠点となった北西部イドリブ県に住むNGO職員ハッサンさん(33)は16日朝、朝日新聞の電話取材に、こう語った。いつでも妻と2人の子どもを連れて、トルコ国境に逃げる準備をしている。
同県には、約300万人が暮らす。政権軍が総攻撃をかければ多くの死傷者や難民が出ることは確実だ。
政権を支援するロシアと反体制派の後ろ盾のトルコは9月、両勢力の支配地域の間に、幅15~20キロの非武装地帯を今月15日までに設置することで合意。総攻撃はひとまず回避された。
反体制派は10日までに非武装地帯となる地域から、戦車やロケット砲などの重火器を撤去。現在は、小銃や軽機関銃で武装した戦闘員が前線で戦闘配置についている状態という。
ところが、アサド政権側は総攻撃の可能性を示唆し、住民はおびえながら推移を見守っている。反体制派とは別の組織が撤退せず、設置の条件が満たされなかったためだ。
新たな問題になっているのが、…