トルコ国境に近いシリアのイドリブ県に今年9月、投降を呼びかける約8万枚のチラシが上空からまかれた。「内戦は終わりに近づいている」「シリアのアラブ軍(政権軍)への協力は安定、再建を取り戻す一歩だ」
同県は日本の茨城県ほどの面積で、複数の武装グループがまだら模様に占拠。反体制派の戦闘員や「シャーム解放委員会」(旧ヌスラ戦線)などのイスラム過激派のほか、各地から逃れてきた市民ら計約300万人が暮らす。
チラシを見た小学校教師だった男性(42)は同月下旬、両親と兄、姉を残し、徒歩とヒッチハイクで過激派の支配地域から、政権側が押さえる県東部のシンジャルに逃れた。物価は内戦前の20倍に高騰。仕事を失い、家財道具を売って食料を手に入れてきたという。過激派側のチェックポイントでは身分証を示し、帳簿に記名。「家族は人質同然だ。早く連れ出して安心させたい」と話した。
35万人以上が犠牲になったシリア内戦で、反体制派が最後の重要拠点とするイドリブ県。支配地域から逃れた人々が、シリア情報省の通訳を通じ、朝日新聞の取材に応じた。その言葉とは。
同じく過激派支配地域のイドリ…