水星を調べる日本の探査機「みお」が20日午前10時45分(日本時間)、南米・仏領ギアナのギアナ宇宙センターから打ち上げられた。26分後に予定の高度で切り離され、成功した。欧州の探査機「MPO」と一緒に約7年かけて約90億キロを飛行し、謎が多い水星を探査する。
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日欧による共同の探査で、イタリアの天文学者の名前にちなみ「ベピコロンボ計画」と名付けられた。2機は合体したまま水星に向かう。地球や金星、水星の重力で減速したり軌道を変えたりする「スイングバイ」を計9回実施。飛行距離は日本の探査機で最長の約90億キロになる。総開発費は日本が約160億円、欧州側はロケット打ち上げ費用などを含めて1千億円を超える大型プロジェクトだ。
観測計画の責任者を務めたJAXAの村上豪・プロジェクトサイエンティストは「打ち上げにほっとしているが、まだスタートラインで、今後の運用に向けて準備したい。太陽風が惑星にどのような影響を与えるかを解き明かしたい」と語った。
2機は2025年12月に水星に到着。その後、約1年かけて、みおは高い高度を回って磁場や大気を観測する。MPOは低い高度から磁場のほか、地形や地表の成分を調べる。
水星は太陽に一番近い惑星で、地球と太陽のおよそ3分の1の距離を回っている。昼間は表面温度が約430度になる一方、夜は零下約170度まで冷え込む。地球のように磁場があるが、詳細はわかっていない。(浜田祥太郎)