九州北部豪雨で甚大な被害が出た福岡県朝倉市にある恵蘇(えそ)八幡宮で21日、豊作を祝う秋祭り「神幸祭(しんこうさい)」が催された。豪雨災害のため昨年は奉納できなかった荒々しい獅子舞が2年ぶりに復活。爽やかな秋空の下、地域を練り歩き、復興を願う人々を元気づけた。
2人1組で雄と雌の獅子に扮し、かみ合う様子を演じた。厄よけに頭をかまれるのを嫌がって子どもが泣き出すおなじみの光景も。地元の手島淳さん(38)は「気持ちよく奉納できた。復興に向けて少しでも力になれたら」と汗を拭った。
約400年の歴史があるとされ、荒々しい獅子舞と優雅なものと、趣の異なる二つを奉納するのが特徴。昨年は豪雨で3人が犠牲になったこともあり、優雅な獅子舞だけ披露された。住み慣れた地域を離れたままの被災者もいるが、消えかけた伝統行事の火がまた明るくともった。(貞松慎二郎)