映画「黒部の太陽」で知られる関西電力の黒部川第四発電所(富山県黒部市)などが見学できる「黒部ルート」が、2024年6月から一般開放される。施設の大半を持つ関電が、見学者を年約2千人に制限してきたが、最大1万人の観光客を受け入れる。世界有数の観光ルートとして、富山県が開放を求めていた。
関西電力と富山県が17日、東京都内で発表した。関電が23年度末までに安全対策工事を終え、県と提携する旅行会社が24年以降、毎年6~10月に8千~1万人分の観光プランとして売り出す計画だ。公募による見学は平日限定で無料だったが、今後は有料となって土曜・休日も受け入れる。価格は未定。公募は23年で終えるが、19~23年は土曜・休日にも順次広げるという。
黒部ルートは、黒部峡谷鉄道欅平(けやきだいら)駅(富山県黒部市)と黒部ダム(富山県立山町)を結ぶ約18キロ。黒部ダムは、立山(標高3015メートル)などの山々が連なる北アルプスを貫く名所「立山黒部アルペンルート」の一部にある。東側からは扇沢(長野県大町市)を入り口としてバスで行けるが、ダム北側は発電所の作業用通路と位置づけられ、関電が1996年に始めた公募の見学者に制限していた。
例年、公募枠の4~5倍を超える人気ぶりだったことから、富山県が長年、立山黒部の「世界ブランド化」につなげようと、関電に観光客の受け入れを広げるように求めてきた。一般開放をめぐる協議が本格化したのは17年3月。関電は当初、「落盤対策に50億円以上、3~5年の工事期間がいる」などと難色を示した。だが、旅行会社が添乗員や保険代を、県が旅行案内板の設置などをそれぞれ担うことで、費用面などでも折り合いがついた。
■受け入れ整備…