日本外国特派員協会(FCCJ)が10月29日にリニューアルする。終戦直後に日本に入った海外メディアの拠点として1945年に発足した、会員制クラブ。東京都心を転々としたのち、76年に「有楽町電気ビル」へ移っており、今回は42年ぶりの移転となる。5代目となる「丸の内二重橋ビル」(千代田区丸の内3の2の3)に引っ越し、日本やアジアの姿を世界に向けて伝え続ける。
FCCJは戦後の日本を映す多彩なゲストを招き、記者会見などを開いてきた。今回の引っ越しを機に、接する機会を得た数々の貴重な写真を紹介する。(藤田直央)
「より開かれた場所であり続けるため」
日本外国特派員協会(FCCJ)の42年ぶりの引っ越しを機に、FCCJ第一副会長で米国出身のジャーナリスト、アビゲイル・レオナルドさん(36)に今後のあり方などを聞いた。
――どうして引っ越すのですか。場所は東京都心でほとんど変わりませんが。
より開かれた場所であり続けるためにリフレッシュします。ジャーナリズムの形は変わり続けています。ネットの普及で、記事や写真に加え音声や動画の配信が頻繁になり、それら全てを一人でこなすジャーナリストも増えました。そうした変化に対応できる施設へ移ります。
日本では外国人観光客が増え、2019年にラグビーW杯、20年にオリンピックがあります。関心が高まっており、海外のジャーナリストの拠点になれれば。引っ越し先でも様々なイベントを開くので、日本の皆さんにもぜひ来てほしい。
――FCCJが記者会見に招いたゲストはバラエティーに富んでいます。歴代首相からオウム真理教幹部、ご当地キャラまで。
ゲストを選ぶ協会の報道企画委員会は活発です。日本文化はユニークで、外国人にとっては政治家と同じぐらい文化人やアスリートに関心があります。報道にはマイノリティーや批判されている側をカバーすることも必要。物議を醸すゲストを呼び、日本のメディアが取材に来ることもあります。
――中国の台頭など変化の激しいアジアの取材拠点として、FCCJの役割をどう考えますか。
アジアの多くの国に比べ日本には報道の自由があります。中国では取材が難しく、最近は香港も心配です。世界が注目するアジアの経済や安全保障の取材や、日本以外の国のマイノリティーの立場を発信する場としても、FCCJは重要であり続けるべきです。
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〈日本外国特派員協会〉 公益社団法人で、FCCJはForeign Correspondents’ Club of Japanの略。終戦直後に欧米メディアが中心となって東京に設け、連合国軍による日本占領や朝鮮戦争を報じる拠点となった。加盟特派員はピークの1992年に493人で、今年9月末では22カ国にわたる290人。歴代首相らを招く記者会見や、東日本大震災など大きな出来事の取材の支援を通じ、海外メディアが日本から世界に発信する拠点となっている。ホームページは
http://www.fccj.or.jp/