「ぎゃー」「くすぐったい」――。生物ミュージアム「NIFREL(ニフレル)」(大阪府吹田市)の館内で、ひときわ歓声が響く一画がある。吸盤のような口で人間の皮膚の角質をついばむ「ドクターフィッシュ」(ガラ・ルファ)の水槽だ。同館では計500匹を飼育しており、実際にそれを体験することができる。魚たちの様子を360度カメラで撮影した。
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水槽に指を入れると、すぐに魚が集まってきてついばんだ。まるで低周波の刺激を受けているようで気持ちがいい。でも、なぜかほかの人よりたくさん集まっているような気が……。
気になったので、キュレーター(飼育員)の宮川訓さん(28)に尋ねてみた。宮川さんによると「指を入れたタイミングや、長さや太さといった指の面積で集まる数が変わる」のだという。角質の多さや汚れなどは関係ないらしいので、少し安心した。
ドクターフィッシュは、コイ科の淡水魚で、体長は5~10センチ。歯は生えていない。水温37度くらいまで生息でき、西アジアの川や温泉にすむ。温泉ではエサとなるコケやプランクトンが生息しづらく、入浴する人間の皮膚の角質を食べるようになったらしい。トルコでは皮膚病の治療などにも使われているという。(竹谷俊之)