1989年に滋賀県東近江市の雪野山古墳で出土し、国の重要文化財に指定された遺物200点以上が一括展示された特別展「雪野山古墳の全貌(ぜんぼう)」展が、東近江市五個荘竜田町の博物館・観峰館(かんぽうかん)(0748・48・4141)で開かれています。「卑弥呼の鏡」ともよばれる鏡なども出土し、その後の古墳調査のモデルにもなった雪野山古墳を知ることができる貴重な機会です。 雪野山古墳は、滋賀県の東近江市と近江八幡市、竜王町が接する山の上に築かれた、古墳時代前期(4世紀初め)の前方後円墳(全長約70メートル)です。89年9月、旧八日市市による発掘調査で未盗掘の竪穴式石室が見つかり、大阪大学の都出比呂志(つでひろし)教授(当時)が若手研究者を集めて調査団を編成し、発掘調査をしました。 石室からは「卑弥呼の鏡」ともよばれる三角縁神獣鏡(さんかくえんしんじゅうきょう)3枚を含む銅鏡5枚のほか、鉄製の武器や農工具、石製品など、前期古墳に典型的な副葬品が、完全なセットで出土。朽ちていた革製、木製の遺物も土ごと固めて取り上げるなど、その後の古墳調査のモデルケースになりました。 展示室でひときわ目立つ、矢を背負うための靫(ゆき)(矢筒)は、絹糸でひし形の文様を施し、赤い漆を塗ったもの。革で作られた本体部分はボロボロでしたが、漆で固められた部分の保存状態はよく、2016年まで進められた遺物の保存処理で展示可能な状態になりました。別室では全長約6メートル、高さ約1・5メートルの竪穴式石室を現地で型取りし、実物大で再現したレプリカも公開されています。 11月18日まで。入館料一般1千円、高校・大学生800円、中学生以下無料。月曜日休館。(編集委員・今井邦彦) |
「卑弥呼の鏡」も 古墳調査のモデルケースの全貌紹介
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