この秋、全国のスーパーで牛乳が品薄になった。売り場から工場、牧場まで現場を歩くと、今夏の猛暑や北海道地震だけではない構造的な問題が見えてきた。
「毎日がお買い得」。東京都練馬区のスーパー「アキダイ」がそんなポップとともに並べるのは、1リットルで税込み170円の「酪農のあじわい3・6牛乳」だ。
アキダイ社長の秋葉弘道さん(50)は「牛乳のような消費の早い商品をうちで買うと決めてもらえると、来店の回数が増える」と話す。卵などと並び、品質でも安さでも他店に負けたくない商品の一つという。
この秋は、牛乳の確保に苦労した。10月初めまで客1人あたりの販売本数を制限せざるをえなかった。酪農が盛んな北海道で9月6日に地震があり、それに伴う停電で乳搾りや現地からの出荷が滞った。
店頭の牛乳は、牛から搾る生乳(せいにゅう)を殺菌処理したものだ。その生乳の9月の全国生産は、農林水産省によると、昨年より3・5%少なかった。本州より南では、記録的な暑さによる乳牛の夏バテや台風も影響した。
ただ、アキダイの秋葉社長は、…