ラグビー界伝統のライバル、ニュージーランド(NZ)代表とオーストラリア代表による世界最高峰の定期戦「ブレディスローカップ」が27日、横浜・日産スタジアムで開かれる。
ラグビーワールドカップ2019
2015年のワールドカップ(W杯)決勝の再現で、会場は来年のW杯日本大会決勝の舞台だ。前回のW杯を制したNZはこの機会に、日本の文化に慣れようとしている。一方、前回のW杯決勝で敗れたオーストラリアは、事情が少し異なっている。
「来年もここで戦うんだと選手が肌で感じる。この機会を逃す手はない」。世界ランキング1位のNZのハンセン監督は言葉に力を込める。「異なる文化に慣れることが大切」と、基本的な日本語を覚えるよう選手に伝えた。
選手もオフの時間を使って日本食を試したり、街を散歩したり。W杯史上初の3連覇へ準備を進めるチームにとって、今回の遠征は来年の「予行演習」の色が濃い。
NZにとって日産スタジアムは、来年のW杯1次リーグの初戦、難敵・南アフリカ代表戦の舞台でもある。W杯を想定し、宿舎と練習場は来年の南ア戦前と同じ場所を使って道路の混み具合などを確認した。105キャップ(代表戦出場数)を誇るロックのS・ホワイトロックは「移動時間も含めて全てが有益だ」。
今年のブレディスロー杯は3戦あり、27日は第3戦。NZがすでに2勝で勝ち越しを決めており、16年連続のカップ保持を確定させている。ハンセン監督は27日を「負傷から復帰した選手や普段とは違うポジションで起用する選手がいる。チームの引き出しを増やしたい」と位置づける。
一方の豪州。NZの3度に次ぐ2度のW杯優勝を数え、前回は決勝でNZと接戦を演じた。しかし最近は伸び悩み、世界ランクは7位に落ちている。W杯の準備というより、再浮上のきっかけをつかみたい一戦になる。今年のNZ戦はいずれも後半に突き放される展開で、30歳のベテランSHゲニアは「後半の試合運びが何より重要になる」と語る。
ブレディスローカップは1930年代前半、当時のNZ総督だったブレディスロー卿にちなんで設立された。日本での開催は9年ぶり2度目。両国の先発は次の通り。
【NZ】FW ムーディー、テーラー、フランクス、S・ホワイトロック、S・バレット、スクワイア、サベア、リード▽バックス ペレナラ、B・バレット、イオアネ、ウィリアムズ、クロッティ、スミス、マッケンジー
【豪州】FW シオ、ファインガア、アラアラトア、ロッダ、シモンズ、ハニガン、フーパー、ポーコック▽バックス ゲニア、フォーリー、コロイベッテ、ビール、フォラウ、ナイバル、ハイレットペティ(野村周平、中川文如)