沖縄県議会が米軍普天間飛行場の辺野古移設の賛否を問う県民投票条例案を可決したことに、安倍政権は表向き静観する姿勢を見せる。「県民投票は法的拘束力はない」として、辺野古移設が唯一の解決策との主張は変えない考えだ。とはいえ、県民投票は政権への逆風を招く契機ともなりかねない。
辺野古賛否問う県民投票、来春までに実施 条例が成立
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混迷の辺野古移設、行方は
26日の記者会見で、沖縄県民投票条例について問われた菅義偉官房長官は「コメントは控える」と繰り返した。一方で、辺野古移設の方針には「気持ちに変わりはない」とも述べた。
政権は辺野古移設工事を進める考えを崩さない。沖縄県の埋め立て承認の撤回に対し、防衛省が行政不服審査法に基づき、同じ政府を構成する国土交通相に効力停止を申し立てる「奇策」に出たのもその一端だ。
それだけに県民投票には冷ややかな反応を見せる。官邸幹部は「県民投票でどんな結果が出ようと粛々と進めるだけ」。政府関係者も「安保政策の問題を県民投票にかけるのはそぐわない」と切り捨てる。沖縄県本部が移設に反対している公明党は、「住民投票は政党が議席を争う選挙ではない」(幹部)として、自主投票の方向という。
ただ、県民投票の持つ政治的意味については政権も無視できない。
とりわけ、来年4月に行われる…