オーストラリアの真珠産業が「海のエコラベル」として知られる国際NGO海洋管理協議会(MSC)の認証を受けた。真珠産業の認証は世界で初めてで、近年、宝飾品にも求められる環境への責任に応える。日本との関係も深い豪州の真珠業界の取り組みを見た。
穏やかな南洋の湾内に停泊した船の甲板で大きなシロチョウガイを開くと、白銀色の真珠が現れた。「よい状況で育っている。2年かけて光沢が増します」
豪北西部バンシタート湾にある同国の真珠生産最大手パスパレイ社の養殖施設。トニー・ティエル生産部長が、真珠の原料を埋め込む「核入れ」から1カ月後の状態をチェックした。貝が入る養殖かごには番号入りの札が付く。「この札で貝の数を把握します」
「南洋真珠」として知られる豪州の真珠は、大きいもので直径が20ミリにもなる。鮮やかな光沢で評価が高い。現代の真珠産業は、真珠を作る母貝も養殖する場合が多いが、豪州では、南洋真珠の特長を維持していくため、母貝は天然貝にこだわる。MSC認証を受ける最大のポイントは、その採集が生息数に影響を与えないかだった。
真珠産業が集まる西オーストラ…