米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事が1日、約2カ月ぶりに再開された。「辺野古ノー」を訴えた玉城デニー知事が当選した知事選から1カ月、そして県の埋め立て承認撤回の効力が停止された翌日のことだ。政府の姿勢に、県民の不信感は強まっている。
本土との溝、基地問題の行方は…沖縄はいま
宜野湾市の自営業金城均さん(67)は1日、工事再開を知って、自宅でため息をついた。「選挙で県民の意思を示したばかりなのに、政府がこんなに横暴だとは。今の政治が恐ろしい。怖さを感じる」
普天間飛行場の滑走路の端から約1・5キロ南西の嘉数(かかず)地区に住む。上空をオスプレイや大型ヘリが飛ぶと、室内の家具が音を立てて震える。飛行しないことになっている午後10時以降にも轟音(ごうおん)が響き、家族の会話やテレビの音がかき消される。「米軍は沖縄ではまだ占領意識がある」
だから地域には「市街地の真ん中にあって危険な普天間の閉鎖・返還のためには、辺野古移設はやむを得ない」と考える人もいる。
でも金城さんは、政府が強調する「普天間周辺住民の危険性除去」には違和感が拭えない。辺野古に移設すれば、その周辺住民が危険にさらされ続ける。普天間返還の代わりに、なぜ県内移設をしなければならないのか。
6人の子育てを終え、10人の孫がいる。30代の次女は沖縄に駐留していた米兵と結婚し、今は米本土に住む。米国や米軍が憎いわけではない。どんなに民意を示しても、数に任せてやりたいことを押し通す日本政府のやり方が、どう考えても納得できない。
知事選では「辺野古移設反対」…