欧州銀行監督機構（ＥＢＡ）は２日、欧州の主要な銀行４８行の健全性を調べるストレステストの結果を発表した。英国の欧州連合（ＥＵ）離脱に伴う混乱などで景気が大きく悪化した場合、健全性を示す中核的な自己資本比率は平均で昨年末の１４・０％から２０２０年末に１０・１％まで大きく下がると試算したが、４８行全てが健全性の目安とされる５・５％は上回った。

欧州中央銀行（ＥＣＢ）は声明で、ユーロ圏の銀行について「２年前よりマクロ経済のショックに耐える力が強くなっていることが確認された」と評価した。

ＥＢＡは基本シナリオと大幅に景気が悪化するシナリオの二つで、銀行の健全性に与える影響を調べた。悪化シナリオでは、３年間で中核的な自己資本が４８行合わせて２２６０億ユーロ（約２９兆円）失われると試算。この結果、２０年末時点の自己資本比率は、英バークレイズが６・３７％と最も低くなり、イタリアのバンコＢＰＭや英ロイズ・バンキング・グループも６％台後半に下落。経営再建中のドイツ最大手ドイツ銀行は８・１４％になるとはじいた。

今回のテストで、ＥＢＡは自己資本比率の「合格ライン」を示していない。市場では過去のテストで採用された「５・５％以上」を健全性の目安とみなしており、全行ともこの目安はクリアしたことになる。ただ、目安に近い水準まで自己資本比率が下がる銀行には、市場の警戒が強まる可能性もある。（ロンドン＝寺西和男）

主要行の中核的な自己資本比率

【２０１７年末時点】 【２０２０年末時点】

バークレイズ（英） １２．９４ ６．３７

バンコ・ＢＰＭ（イタリア） １１．２０ ６．６７

ロイズ・バンキング・グループ（英） １３．７５ ６．８０

ソシエテ・ジェネラル（仏） １１．２４ ７．６１

ドイツ銀行（独） １３．９０ ８．１４

ＢＮＰパリバ（仏） １１．５２ ８．６４

ＨＳＢＣ（英） １４．５１ ９．１８

サンタンデール（スペイン） １０．６１ ９．２０

ウニ・クレディト（イタリア） １２．６８ ９．３４

※数字は％。景気が大幅に悪化するシナリオの場合