深刻な銀行危機に見舞われてきたイタリアで注目されている銀行がある。北部パドバに本店を置く「バンカ・エチカ(倫理銀行)」。よりよい社会づくりにつながるかどうかを基準にお金を貸しているという。それで銀行業としてやっていけるのだろうか。現地を訪ねた。
バンカ・エチカの創設は1999年。従業員約300人、イタリアとスペインに計20支店を構えるだけの小さな銀行だ。「公平で持続可能な社会づくりへの貢献」を理念に掲げ、法人については「社会や環境によりよい影響を与える事業」に限ってお金を貸すという独自の規定を設けている。社会福祉、再生可能エネルギー、共生につながる事業など対象は幅広い。約4300の法人の融資先には、社会活動を手がける非営利団体や協同組合が多い。
ローマ郊外で有機野菜を栽培する農園も融資先の一つ。障害者に働く場を提供するための協同組合が運営しており、24人の従業員のうち半数が障害者だ。農園のマッシモ・マルトラーナさん(55)は「以前に大手銀行に融資を依頼したが、担保が十分でないと拒否された。バンカ・エチカは事業の内容で評価してくれる」と話す。これまで計37万ユーロ(約4800万円)を借りたが、返済は順調に進んでいるという。
イタリアではアフリカなどから…