イタリアのコンテ首相は22日、財政赤字が国内総生産(GDP)比で2・4%に達する見込みとした来年の予算案について、欧州連合(EU)の欧州委員会が求める修正要求に応じない意向を明らかにした。欧州委は18日、同予算案は「EUの財政規律に対する前例のない違反」と指摘し、同予算案の見直しについて22日までに回答するようイタリア政府に求めていた。
コンテ氏は22日、国外メディア向けに会見し、「真剣に見積もって組んだ予算案で、(欧州委の)批判を受けたから変えるようなものではない」と述べ、欧州委の修正要求に反発した。財政赤字が対GDP比で2・4%に達する見通しについては、「最悪の場合の数字であって、実際は下回る」と釈明した。
また、EUの枠組みやユーロからイタリアが離脱することはないと強調し、「欧州委には我々の経済政策を繰り返し説明する。対話を続け、協力していく」と述べた。
イタリアメディアによると、欧州委が求める修正要求にイタリア政府が応じないことについては、トリア経済・財務相が22日、欧州委側に文書で回答したという。
欧州委は23日、イタリアの予算案について検討する。欧州委がイタリアの予算案を却下すれば、欧州委が2013年にEU加盟国の予算案を審査・却下する権限を手にして以来、初めてのケースとなる。イタリアの財政悪化がより深刻化する懸念が強まり、同国債の売りが加速する恐れがある。(ローマ=河原田慎一)