山口県の周防大島(周防大島町)と柳井市を結ぶ大島大橋に貨物船が衝突した事故は、船体が橋の高さを上回っていたのに、船が通ろうとして起きた。船長らは橋の高さを事前に確認していなかったという。
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海保によると、大島大橋の海面からの高さは干潮時で約33メートル。貨物船「エルナ・オルデンドルフ」(2万5431トン)の最も高いマスト部分は約40メートルあった。
航海計画は2等航海士がつくり、船長が了承した。船は韓国から広島県の呉港に向かう途中、最短ルートとなる現場海域を通る予定だったが、計画段階で橋の高さを調べていなかった。
船長は衝突の約30分前に橋に気づき、2等航海士に橋の高さを調べるよう指示。だが、橋の高さや水深などが記された冊子が分厚く手間取った。その間、操舵(そうだ)していた甲板手は減速や進路変更をしなかった。
現場海域に詳しい大島商船高専の中村泰裕准教授(船舶安全学)によると、一帯は航路が狭くて潮流が速く、大型船は避けることが多い。「事前に橋の高さを調べるのは基本的なことで、理解しがたい。橋に気づいた時点で止まるべきだった」と話した。(藤牧幸一、井上怜)