日本原子力研究開発機構の研究炉の運転再開に向けた審査で、原子力規制委員会が16日、審査の前提となる申請書類に不足が多数あることを指摘したところ、機構の担当者が「知りたいならいくらでも出す」などと開き直りとも取れる発言をし、規制委側が「それはひどい」などととがめる場面があった。
審査を受けているのは、原子力科学研究所(茨城県東海村)の臨界実験装置「STACY」(最大熱出力200ワット)。東日本大震災後に強化された新規制基準に適合するよう設備の補強などが計画されている。
審査会合で、規制委の担当者が「記載すべき情報が網羅されていることを徹底してほしい」と要求したところ、機構の担当者は「知りたいだけならいくらでも説明資料を出すが、基準のどこを見るために言っているのか」などと反論した。
これに対し、規制委側が「あれが足りない、これが足りないというヒアリングを延々続けている」「機構の上層部は認識しているのか」と苦言を呈すると、機構側は「反省すべき点は反省する」と述べた。
事前のやり取りの段階で、規制委側の指摘を受けて機構側が書類を修正する作業が続いており、双方ともに不満がたまっていたようだ。規制委の幹部は「審査を受ける姿勢に問題がある」と批判した。
原子力機構は国内最大級の原子力研究機関。廃炉作業が進む高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)など、多数の研究施設を持つ。(小川裕介)