着物店「はれのひ」(横浜市)が今年の成人式を前に突然店を閉じた問題で、決算を粉飾するなどし、銀行から融資金をだまし取ったとして詐欺罪に問われた元社長、篠崎洋一郎被告(56)の公判が20日、横浜地裁(渡辺英敬裁判長)であった。検察側は「犯行は計画的かつ巧妙で悪質」などとして、懲役5年を求刑した。判決は12月19日に言い渡される。
起訴状などによると、篠崎被告は2015年9月期決算で債務超過を隠すなどして、16年9月に横浜銀行から3500万円、東日本銀行から約3千万円をだまし取ったとされる。
篠崎被告は被告人質問で「夢や理想を追いかけて、業界のリーディングカンパニーになりたかった」などと店舗拡大の経緯を語った。詐欺事件については「赤字だと融資を受けられるかわからないので税理士にお願いして決算書を赤字から黒字にしてもらった」と説明。「銀行、取引先、お客さまに対し、思い上がった経営でこのような事件を起こしおわびします」と頭を下げた。
検察側は論告で「経営状態を確実に把握していたのに、虚偽の申請をした。強い非難に値する」と主張した。一方の弁護側は「新成人に対して晴れ着を着させたいという思いで、会社の存続に向けてなんとかしようとしてきた」として、執行猶予付き判決を求めた。(飯塚直人)