電子部品大手の京セラ(本社・京都市)から架空の取引で約3700万円をだまし取ったとして、神奈川県警は7日、元社員の中川伸幸容疑者(52)=埼玉県朝霞市=を詐欺の疑いで逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。県警は、被害総額は約1億2600万円に上るとみて調べている。
捜査関係者によると、中川容疑者は同社事業所の経理責任者だった2012年9月、実在の取引先と実際に取引があったように装って取引先への支払い名目で約3700万円を支出し、自らが開設した架空名義の口座に送金して詐取した疑いがある。
別の社員が不自然な取引に気づき、同社は昨年7月に社内調査を始め、同8月に中川容疑者を懲戒解雇とした。今年2月には、12年9月以降4回にわたり計約1億2600万円を着服したとして、業務上横領容疑で刑事告訴していた。中川容疑者は調査に事実関係を認め、「住宅ローンの返済や遊興費などに充てた」と説明。これまでに約6千万円を弁済したという。(山下寛久、伊藤和也)