顧客からの暴言や言いがかりなどの「悪質クレーム」から働き手を守るため、厚生労働省は19日、企業が取り組むべき対策を指針でまとめる方針を明らかにした。セクハラ対策の強化や職場のパワーハラスメント(パワハラ)対策の法制化などとあわせ、ハラスメント対策の見直し素案としてこの日の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会に示した。
悪質クレームによる被害は広がっている。労働組合「UAゼンセン」が2~5月にサービス業の組合員約3万人を調べた結果、7割超が「暴言」「何度も同じクレームを繰り返される」などの迷惑行為を受けたと答えた。こうした行為は「カスタマー(顧客)ハラスメント」とも呼ばれる。
ところが、悪質クレームを防ぐための法律や指針はなく、対応は現場任せになっている。このため、分科会では対策のあり方を議題の一つに議論してきた。
厚労省はこの日、悪質なクレームを「職場のパワハラに類するもの」と位置づけた上で、企業がとるべき対策を指針で明示する方針を示した。具体的な内容は、労政審で今後議論するとしている。厚労省は、指針を基に悪質な客に断固として対応する企業が増えれば、「悪質クレームは許されない」とのメッセージが社会に広がり、被害をくい止める効果が出るとみている。
セクハラ対策の強化では、社内…