英国のメイ首相は19日、来年3月末に迫る欧州連合(EU)からの離脱に関して、経済環境の激変を緩和するために2020年12月末まで設けられる「移行期間」を1年半ほど延長する可能性を示した。EUと早く決別したい与党・保守党の強硬離脱派からは反発を招きそうだ。
メイ氏は英産業連盟の年次総会で、移行期間について「(22年6月に予定される)次の総選挙までに終えることが重要だ」と演説した。これまでは延長するなら「数カ月」としてきたが、より長い期間を想定していることを明らかにした形だ。英メディアによると、EUのバルニエ首席交渉官も18日、英国をのぞくEU27カ国のEU大使の前で、移行期間を22年12月末まで延長する可能性を示唆したという。
移行期間を延ばせば、EUとの通商関係など未解決の課題を協議する時間が稼げる。だが期間中は引き続きEUの法律や規制などに従い、EU予算も負担する義務があるため、米国などと自由に貿易協定を結びたい保守党の強硬離脱派は反発している。(ロンドン=下司佳代子)