日産自動車の代表取締役会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が報酬を約50億円過少に申告したとして、金融商品取引法違反容疑で逮捕された事件で、ゴーン会長が側近の代表取締役グレッグ・ケリー容疑者(62)にメールで虚偽記載を指示していたことが、関係者への取材でわかった。東京地検特捜部もこのメールを押収している模様で、重要な物証とみて指揮系統を詳しく調べている。
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ケリー代表取締役が、実行役とされる外国人執行役員らにゴーン会長の指示を伝える際には、「会長からの指示だ」との趣旨のメールを送っていたことも判明。ゴーン会長の年度ごとの報酬の記載額が10億円前後になるよう処理させていたという。特捜部は、捜査への協力の見返りに刑事処分を軽くする司法取引で執行役員らと合意し、メールなどの提供を受けたとみられる。
ゴーン会長はケリー代表取締役と共謀し、2010~14年度の5年度分の役員報酬について、実際は計約99億9800万円だったのに、約50億円少ない計約49億8700万円と有価証券報告書に記載したとして、19日に逮捕された。
特捜部はメールの内容について、司法取引で合意した執行役員らの供述を裏付ける客観的な証拠と位置づけている模様だ。執行役員らは不正への関与が疑われるが、刑事処分は軽減される見通しだ。
ゴーン会長の報酬をめぐっては、日産や仏ルノーの株主から「高すぎる」とたびたび批判されてきた。虚偽記載の容疑について、会社関係者は「批判をかわすために低く見せかけたのだろう」と指摘した。
また特捜部は21日、日産の志賀俊之取締役を参考人として聴取した。志賀氏は05~13年に最高執行責任者(COO)としてゴーン体制を支えており、詳しく説明を求めたとみられる。
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東京地裁は21日、ゴーン会長とケリー代表取締役の勾留を30日まで認める決定をした。