積水ハウスが土地取引で所有者を装った「地面師」グループに55億5千万円をだまし取られたとされる事件で、警視庁は21日、所在不明だった会社役員土井淑雄(よしお)容疑者(63)=東京都中央区晴海1丁目=を偽造有印私文書行使などの疑いで逮捕し、発表した。容疑を否認している。警視庁は、土井容疑者が都内に置いた事務所がグループの実質的な拠点だったとみている。
地面師が語った手口の一端 仲間に弁護士、綿密にプラン
捜査関係者によると、土井容疑者は墨田区のビルに事務所を置き、首謀者とされる内田マイク容疑者(65)=同容疑などで逮捕=や、ともに事件を主導した疑いがあるカミンスカス(旧姓・小山)操容疑者(58)=同容疑などで国際手配=らが出入りしていたという。
土井容疑者は今年3月、この部屋で朝日新聞の取材に応じた。カミンスカス容疑者は約15年来の友人とし、「一昨年暮れに『大きな取引がある』と言われて数億円を工面したが、積水ハウスとの取引とは知らなかった」などと説明。内田容疑者とも付き合いがあり、「会長」と呼ばれていると明かしていた。警視庁は、土井容疑者が内田容疑者から計画を持ちかけられ、詐取金を分配するなど「裏方」として中心的役割を果たしたとみている。
土井容疑者の逮捕容疑は他の容疑者らと共謀して昨年6月、東京都品川区の旅館跡地の所有者になりすまし、偽造の委任状などを使って虚偽の登記変更をしようとしたというもの。一連の逮捕者は15人目。