ネコの舌がザラザラしているのは、唾液(だえき)をうまく使って毛づくろいするため――。こんな発見を米ジョージア工科大の研究チームが米科学アカデミー紀要に発表した。舌の表面に数百の小さな突起があり、先端についた唾液を体の隅々まで届ける高性能ブラシのような機能が備わっていた。唾液が体を清潔に保ち、体温を下げる効果もあるという。
ネコは起きている間の4分の1を毛づくろいに使っている。研究チームは、高速カメラやコンピューター断層撮影で毛づくろいする舌を分析。表面の突起が毛に覆われた体の奥深くまで届き、1回なめるごとに最大で唾液約4マイクロリットル(マイクロは100万分の1、4マイクロリットルは目薬1滴の約10分の1)を毛や皮膚になすりつけることができていた。突起の先端にU字形のくぼみがあり、そこに唾液がついて効率よく体の奥に運べるという。
同じネコ科のトラやライオンの舌にも似た突起があった。ネコの舌の構造を3Dプリンターで再現すると、簡単に抜け毛を取り除けるブラシができたという。研究チームは「食べるときなど、ほかにも役立っている機能があるかもしれない」と話している。研究成果は、米科学アカデミー紀要電子版(
https://www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.1809544115
)に掲載された。(杉本崇)