政府は、相次ぐ自然災害を受け、重要インフラの機能を高める緊急対策として、今年度から3年間で計3兆円超を投じる方針を固めた。来年10月の消費増税に備えた経済対策とも位置づけ、来年度当初予算案に1兆円超を計上する方針だ。この結果、当初予算案の歳出総額は初めて100兆円を超える可能性が高くなった。
政府は全国の河川や病院、電力、空港など132項目を緊急点検し、今月半ばにも対応策をとりまとめて公表する。緊急性が高いものから進め、今年度第2次補正予算案と再来年度の当初予算案にも1兆円規模を計上する方向だ。
今年、北海道地震など相次いだ災害を受け、安倍晋三首相が先月27日の関係閣僚会議で緊急対策のとりまとめを指示した。河川は堤防の強化やかさ上げ、病院は非常用自家発電設備の増設、空港は耐震対策、道路は土砂災害を回避するための改良などを予定する。
政府は来年の消費増税や2020年の東京五輪後の景気の落ち込みを防ぐ効果も期待する。ただ、このところ年6兆円規模でほぼ横ばいだった公共事業費が一気に膨らむことになり、無駄な事業の温床になりかねない。(笹井継夫)