日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)が巨額の役員報酬を過少記載したとして逮捕された事件で、側近の前代表取締役グレッグ・ケリー容疑者(62)が、退任後の支払いにして隠したとされる分について、「前会長の秘書室が開示義務はないと外部に確認した」と供述していることがわかった。相談した外部の弁護士や会計士の事務所名も具体的に挙げているという。
経営者の報酬いくらが妥当? 広がる従業員との格差
違法性の認識をめぐる、東京地検特捜部との対立が鮮明になった。
特捜部は、2人を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕。2010~17年度の8年間の年間報酬は各約20億円だったが、各約10億円は退任後の支払いにして計約90億円を隠蔽(いんぺい)し、退任後はコンサルタント料などの別名目に紛れ込ませて支出する計画だったとみている。
一方、関係者によると、ケリー前代表取締役は、前会長の退任後の処遇をめぐる計画は、役員報酬とは無関係だと主張。前会長の秘書室に指示して会計事務所などに法的な問題点を問い合わせたとし、「取締役として各年度に行った職務への報酬ではなく、開示義務はないと確認した」「日産として確認したということだ」と強調しているという。特捜部が有力な証拠とみる関連書類についても、「前会長に見せる時は『退任後の支払いを確約するものではない』と何度も言っていた」と説明しているという。
ゴーン前会長も「弁護士でもあるケリー前代表取締役から『合法的に開示しないでいい』と言われた」と述べ、違法性の認識を否定している。