週8コマだったはずの授業が、週16コマに――。秋田栄養短期大学(秋田市下北手桜)で、来春に卒業を控えた2年生らが補講に追われている。栄養士の資格取得に必要な科目の担当教員2人の研究業績が不足しているとされ、再受講が必要になった。学生にとっては、とんだ「とばっちり」だ。
問題となった教員2人が担当していたのは、「調理学」や「臨床栄養学」などの5科目。いずれも栄養士の資格取得に必修の科目で、2年生は5科目、1年生は2科目を履修していた。補講は1年生40人、2年生55人の全学生が対象になった。
同短大を運営する学校法人ノースアジア大学などによると、2人は十分な指導実績や専門性があると判断し、講義を担当させていた。だが9月、厚生労働省東北厚生局の調査で研究の業績が不足しているとされ、5科目について年度内に適切な教員が補講をするよう指導を受けた。
同法人は、教員2人がいつから講義を担当していたかは明らかにしていないが、「要件を満たしていると解釈していた」「最近、(教員の)研究業績が厳しく問われるようになってきており、それに伴い指導を受けた」としている。
一方、東北厚生局の担当者は「基準は明確で解釈が分かれるものでなく、最近厳しくなったこともない。説明会も実施している」と説明している。
これまでの履修分は卒業単位としては認められるが、栄養士の資格を得るには補講を受けないといけない。1科目は90分15コマ。時間換算で、2年生は卒業までに最大112時間の補講を受ける必要がある。
ある2年生の学生は、週8コマの予定の授業数が、補講で16コマに倍増した。卒業を前に「一度受けたのと同じ科目の補講で、時間だけが消費されていく」と嘆く。「なぜ適切でない人が担当したのか。時間を返して」と訴える。
別の2年生は、来春から栄養士として就職が決まっている。「資格を取るために1年生の時からがんばってきた。学校側は事の大きさをわかってほしい」と話した。(石川春菜)