中央教育審議会の特別部会が6日、教員の働き方改革に向けた答申素案をまとめた。労働実態を把握できるようにし、時間外勤務の上限ガイドラインを盛り込んだが、長時間労働の原因とされる給与制度の問題には踏み込まなかった。
教員の勤務時間、上限規制へ答申案 適用なら大半が超過
「給特法の今後の見直しの可能性も明記すべきだ」
「当時の背景は現在にあてはまらない。未来永劫(えいごう)、永遠不滅のものではない」
6日の部会では委員から、働き方改革が実現できなければ「給特法」の見直し検討を素案に入れるべきだ、との意見が相次いだ。
「給特法」は、1971年に成立した「公立学校教育職員の給与等に関する特別措置法」の略。教員の働き方の特殊性を考慮し、残業代を出さない代わりに給料月額の4%を「教職調整額」として出すことを決めている。4%は、残業が月8時間だった当時の状況を踏まえたとされる。
文部科学省は同時に、修学旅行や学校行事など4項目以外の勤務を教員の「自発的な行為」と位置づけてきた。しかし、この結果学校での時間管理がルーズになり、長時間労働の一因となってきた。「過労死しても労働と認められず、労災認定がされにくい」「4%が実態に合わない」と批判も上がっていた。
答申素案では、時間外の授業準備や採点なども「勤務時間」として認める方針を打ち出し、上限も「月45時間」と示した。これにより、管理職は教員の勤務実態の把握をより迫られる。労災認定なども容易になるとの見方がある。
ただ、根幹の給与制度の問題は積み残しとなった。
最大の理由は、財源だ。文科省の試算によると、教員の働き通りに「残業代」を支払う場合、1年間で少なくとも9千億円が必要だ。消費増税分の一部が、幼児や高等教育の無償化などに充てられることになり、「財務省から、さらに教育費で財源を引き出すことは困難になっていた」と、特別部会の部会長を務める小川正人・放送大学教授(教育行政学)は話す。
もう一つの理由が、給特法と同…