船上で操作し、水中の映像を見ることができる「水中ドローン」の市場が、活気を帯び始めている。空撮や測量、農薬散布など様々な分野で導入が進み「空の産業革命」といわれるドローン(小型無人飛行機)。港湾の点検や生物調査に活躍が期待される水中ドローンも、海に革命をもたらすのか。
和歌山県みなべ町沖。先月半ば、広告制作プロダクション「メディアクト」(大阪市西区)による水中ドローンの導入テストがあった。水面に浮かべ、船上からコントローラーで操作すると、三つのプロペラがうなりを上げ、泡をはき出しながら水中に潜行した。
使われた機体は中国製で、価格は約20万円。長さ46・5センチ、幅27センチ、高さ12・6センチで水深30メートルまで潜ることができる。コントローラーと機体をつなぐケーブルを通じ、小型カメラで撮影した映像が、リアルタイムで船上のスマートフォンに表示される。
従来の海洋開発や水中調査では、実際にダイバーが潜って調べるか、重さが数百キロから1トン以上もある遠隔操作型無人探査機(ROV)が使われていた。空のドローンの開発が進むとともに、プロペラやバッテリーが小型軽量化され、「水中ドローン」と呼ばれるようになった。現在のところ、空のドローンのような、利用場所の制限や申請手続きなど、規制はほとんどない。
撮影を担った同社の田中裕介さん(40)は「今後さらに機能が安定し、低価格化が進めば、産業を変える大きな波になるのでは」と期待を込める。
■水族…