明るすぎる「西郷どん子」 かけ合い、夫婦漫才のよう——贯通日本资讯频道
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明るすぎる「西郷どん子」 かけ合い、夫婦漫才のよう

鹿児島市で11月にあった西郷隆盛のそっくりさん日本一を競う「全国西郷1(せごワン)グランプリ」の鹿児島決勝大会。応募者200人以上の頂点に立ったのは地元すし店の女将(おかみ)だった。あれからまもなく1カ月。その素顔を知りたくて店を訪ねた。


「いらっしゃい」


鹿児島市荒田のすし店「弥助寿司」。昼時にのれんをくぐると、かっぽう着姿の松延真美さん(53)がいた。大会で周囲をおどろかせた、パンチパーマにフェルト生地の太い眉毛で「女西郷」を演じた面影はない。こまめに動き回り、柔和な笑顔と豪快な笑い声で店を温かく包んでいた。


大将で夫の憲次さん(60)が、大会の映像を見せながら言った。


「いつもこう。何事にも一生懸命でね。明るすぎるくらいに」


鹿児島市で生まれ、鹿児島純心女子中・高校に進み、高2で生徒会長も務めた。「しめ縄のような」三つ編みに規則通りのスカート丈の長さ。登下校の寄り道も一切せず、周囲から「歩く校則」と言われた。


両親が共働きで、歌好きな祖父と一緒に過ごした。中学高校でも毎朝夕の聖歌の時間が楽しみで、短大進学後は合唱部に所属し、歌づくしの生活をおくった。卒業後は生命保険会社に就職。最初の歓迎会で同期と踊りながら歌う余興を披露した。社内の決起大会では1千人以上の社員の前で踊った。人を笑顔にする楽しみを知った。


1959年創業のすし店2代目・憲次さんとの結婚を機に退社。3人の娘に恵まれた。


11月3日、鹿児島市であった「おはら祭」の西郷どんコンテストに何げなく出場した。グランプリ予選を兼ねたその大会の少し前、母校の体育祭で「おはら祭」に出るOGの団体の紹介があり、パンチパーマの西郷姿で参加。それを見た友人に勧められ「出るからにはみんなを楽しませたい」と手を大きく振る愛敬たっぷりのアピールで優勝。女性で唯一、グランプリ決勝大会へ進んだ。


「篤姫よりも分厚くて、西郷どんよりも横ばい(小太り)のこじっくい(背が低い)。大久保どんより毛がぼうぼう。その正体はすし屋の女将、西郷どん子でごわす!」


自己紹介の口上のあと、歌舞伎役者がみえを切るようなポーズを決め、会場をひときわ沸かせた。


文言は薩摩川内市に住む次女(23)と練り上げ、「毛がぼうぼう」のくだりは憲次さんが「絶対おもしろいから」と加えた。披露した30秒間のダンスは毎夜10時に店を閉めてから猛練習。動画を見ながら三女(19)から指導を受けた。



優勝の翌日から友人や知人らから、ラインなどで祝福メッセージが100通以上届いた。外を歩いていると知らない人から「おめでとう」と突然言われ、数十年ぶりに店に会いに来た学生時代の友人もいた。


「お客さん、増えたよね」と真美さん。


「怖い物みたさで来るんだよ」と憲次さん。


「おい、おい」と突っ込む真美さん。


そんな夫婦のやりとりは、長年続けてきた漫才のように見えた。


「人を喜ばせるのが好き。うちの家訓は『何事も一生懸命』ですから」


すし店の女将「西郷どん子」。今日も笑顔でみんなを楽しませている。(小瀬康太郎)


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