来年度当初予算案の一般会計総額が101・5兆円弱になる見込みになった。来年10月の消費増税に備えた対策が約2兆円に膨らみ、社会保障費も過去最高を更新するため、初めて100兆円を超える。ただ、過去最高の税収を見込み、「税外収入」も異例の措置で積み増すことで、国の借金である新規国債の発行額は9年連続で減額する方針だ。
歳出面では、消費増税に備えた臨時の対策が約2兆円に拡大。社会保障費も高齢化による伸びに加え、幼児教育の無償化などで大幅に増える。国の借金の元利払いに充てる「国債費」も23・5兆円、地方交付税交付金も16兆円と、いずれも今年度を上回る見込みだ。
このため、歳入面では、預金保険機構(預保)の利益剰余金の一部を繰り入れる異例の対応をとる。金融機関の破綻(はたん)などに対応する預保には、経営危機に陥った金融機関に資本注入するための「金融機能早期健全化勘定」があり、昨年度末時点で約1・6兆円の剰余金がある。来年度はこのうち約8千億円を国庫に納付させ、「税外収入」を増額。税収も景気回復や消費増税による増収で62・5兆円程度と、29年ぶりに過去最高を更新すると見込む。
これにより、新規国債の発行額を圧縮し、今年度の約33・7兆円より少ない32・7兆円程度とする方向で最終調整している。(笹井継夫)