裁量労働制で働く人の実態を調べる新しい調査手法を、厚生労働省の有識者会議が21日まとめた。政府は働き方改革関連法で裁量労働制の対象者の範囲を拡大する方針だったが、従来の実態調査がずさんだったことが問題化し、断念した。政府は引き続き対象拡大をめざしており、新たな手法による調査は今後の議論の土台となる。厚労省は来年度の早い時期に調査を実施する方針だ。
裁量労働制は、実際に働いた時間にかかわらず一定時間を働いたとみなし、残業代込みの賃金を払う制度。労働時間の管理が甘くなり、長時間労働を助長するとの懸念が指摘されている。
新たな調査では、制度を適用されている働き手と、適用されていない働き手の労働時間の違いなどを調べる。調査対象は制度を導入している事業場と導入していない事業場の双方で、それぞれの人事担当者と働き手に質問に答えてもらう。
人事担当者には「従業員の平均労働時間」などを、働き手には「労働時間」「健康状態」「年収」などを尋ねる。「裁量労働制の対象をどうすべきか」は双方に質問する。調査の対象数については今後詰める。
実際の調査や回答の集計には数カ月かかる見通し。厚労省は結果がまとまり次第、裁量労働制の対象範囲の議論をやり直す労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会に提出する方針だ。(村上晃一)