ブラックコーヒーが机などにこぼれて乾くとリング状のシミになるのに対し、甘いコーヒーはムラのない均等なシミになる。そんな研究の成果を海洋研究開発機構が発表した。インクの加工に応用すれば、プリンターのムラを抑えられる可能性があるという。
機構は、海洋探査などを担っている国立研究開発法人だ。その研究によると、ブラックコーヒーのしずくは外側から蒸発していくため、液体は中心部から外側へ移動する。あわせてコーヒーの微粒子も外側へ運ばれ、液体がすべて蒸発すると、残った微粒子がリング状のシミとして残る。
一方、砂糖を加えたコーヒーだと液体の外側への移動が起きにくく、シミがリング状になりにくいことが分かったという。
微粒子を含んだ液体が乾くとシミがリング状になる現象は「コーヒーリング現象」と呼ばれ、インクジェットプリンターではムラの原因になる。今回の研究成果を応用すれば、ムラを簡単に抑えることができる可能性があるという。
研究結果は英科学誌「Scientific Reports」の電子版に今月11日付で載った。研究員の下林俊典さんは「雨粒や波しぶきなど自然界には微粒子を含んだ様々な液体がある。今回の研究結果は、その動きの解明に役立つと期待している」と話す。(筒井竜平)