数年以内の実用化が期待されている「空飛ぶタクシー」について、電動の垂直離着陸機(eVTOL〈イーブイトール〉)を開発している欧エアバスの部門責任者が朝日新聞のインタビューに応じた。同社内で複数あるプロジェクトを集約し、最初に実用化する機体の仕様を2019年末までに策定する意向だという。
eVTOLは、米配車大手のウーバー・テクノロジーズが空を行き来する都市交通「空飛ぶタクシー」構想を掲げたことで、開発競争に火が付き、20年代の実用化を目指して世界各国の航空機メーカーやベンチャー企業がしのぎを削っている。
エアバスは、今年初飛行に成功した「バハナ」のほか、年内にも4人乗りの「シティーエアバス」の初飛行を予定するなど、試験機が順次完成し、飛行データなどの蓄積が進んでいる。
エアバス・ヘリコプターズのブリュノ・エバンCEOは、都市向けeVTOLについて「需要がある。ヘリコプターに取って代わることはないが、ヘリコプター市場に付加する潜在的市場だととらえている」と説明した。
その上で、「都市住民が、頭上を(eVTOLが)飛び回ることを想像できるだろうか。多分まだだろう。我々は技術が成熟し、安全で身近な解決策であることを示さなくてはならない」とした上で、航空機開発の実績がある同社が同分野で「主要な役割を担う」と強調した。今後は複数の試験機のデータの分析を深めてとりまとめ、実用機の開発を進めるという。(松尾一郎)