清掃や建設現場などで働く人々が着る「作業服」が変わってきた。灰色や紺色など地味な色が当たり前だったのは昔。スーツと見まがうものも登場し、人気を呼んでいる。背景にあるものは。
東京都豊島区のタワーマンション。管理員の菊野哲二さん(66)は、白シャツに紺色のテーラードジャケット、細身のパンツ姿で玄関先の落ち葉をはいていた。実はこれは作業服。収縮性がある化繊製で動きやすく、「住人からすてきと言われる」と話す。
この作業服は、都内で水道工事を手がける「オアシスソリューション」(東京都)が社員向けに開発し、関連会社が昨年から販売しているものだ。農家やゴミ収集など幅広い現場で使われ、海外からも引き合いがあるという。
開発に乗り出したのは2年前。当時社長だった関谷有三さん(41)は、実家も水道工事会社で、父のダボッとした青い作業服姿を、幼い頃から「格好悪い」と思ってきた。「平日夜に家族で外食に行くと、隣のテーブルのお父さんはスーツ姿。恥ずかしかった」。同社では市販品を使ってきたが、「業界の印象を変え、人材難の解決にもなれば」と考えた。
スーツ型を発案したのは、当時人事部にいた中村有沙さん(32)。「作業着での通勤は恥ずかしい」「営業の人たちは仕事後にそのまま遊びに行けていいね」との社員の声から思いついたという。
発売後、ツイッターでは「作業…