沖縄・宮古島沖の巨大サンゴ礁群「八重干瀬(やびじ)」で、生きたサンゴの激減が確認された。八重干瀬を含む宮古・八重山海域はサンゴの種類が多く、ほかの海域への「幼生の供給源」としても大切な場所だ。しかし近年、大規模な白化現象に繰り返し見舞われ、大きなダメージを負っている。高水温による白化現象は世界各地でサンゴを激減させており、地球温暖化の影響で白化の頻度が高まっているとの指摘もある。
天然記念物の生きたサンゴが激減 7割死滅、調査で判明
白化現象、2年前から深刻化
エメラルド色に輝く海面が、どこまでも続く。ガラスのように透き通った宮古島沖の海。最寄りの港から20分ほど船を走らせると、海面下に広がる八重干瀬のサンゴが見えてきた。
船の上からの眺めは、絵はがきのように美しい。しかし、水中メガネをつけて海に潜ってみると、サンゴが死滅し、荒れ果てた海底が多いことに気づく。
テーブル状サンゴや枝状サンゴの表面には、コケのような茶色い藻が付着している。死んでバラバラになったサンゴは、コンクリートのがれきのように海底を覆っていた。
今回調査対象となった八重干瀬の海底には、2008年の集計では生きたサンゴの面積が約71万平方メートルあったが、約23万平方メートルへと激減した。30年近くサンゴの観察を続けてきた理科教諭で中学校長の松本尚さん(53)は「場所によっては、海面近くから深さ20メートルほどまで、枝状サンゴがぎっしり生えていた。そこが今は、砂漠のようになってしまった」と話す。
色とりどりの魚たちが集まる八…