米通商代表部(USTR)は21日、日本との二国間の貿易協定(米日貿易協定=USJTA(ユーエスジェーティーエー))の交渉開始に向け、交渉目的を公表した。日本側が主眼を置く物品の関税削減だけでなく、日本が中国と自由貿易協定(FTA)を結ぶことを牽制(けんせい)する条項や、為替操作を禁じる条項などを盛り込むことなどが柱になる。
米政権はかねて、11月末に署名した「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を、日本も含む今後の通商協定のひな型にすると述べてきた。USMCAは通貨安を誘導する為替政策を取りにくくするための為替条項や、中国との貿易協定の締結を難しくする通称「毒薬条項(ポイズンピル)」を盛り込んでいる。
USTRは対日交渉の目的に、「もし、日本が非市場国とFTAを結べば、透明性を確保し、適切な行動をとるための仕組みを設ける」と明記。「非市場国」とはUSMCAでも用いられた、中国を念頭に置く表現だ。USMCAでは、ある国が非市場国とFTAを結べば、他の国はUSMCAから離脱することもできる。「適切な行動」が日本にとって不利な条件となるような条項が盛り込まれれば、日本の通商外交の自由度を狭める可能性もある。
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