政府系金融機関の日本政策金融公庫は25日、システム開発に関する一般競争入札3件で、職員4人が富士通に入札情報を漏らすなどの不正をしていたと発表した。25日付で4人を停職などの処分とし、田中一穂総裁(元財務事務次官)が月額報酬10分の1を2カ月分、自主返納することなどを決めた。田中総裁は会見で「入札情報の漏洩(ろうえい)という事態を招いたことは誠に申し訳ない」と謝罪した。
不正の度合いに応じて職員2人を停職6カ月、1人を戒告、1人を減給の処分とした。田中総裁のほか皆川博美前副総裁と紀村英俊前専務も責任を取り、月額報酬10分の1に相当する額を1~2カ月分返納する。日本公庫は4人に金品の受け取りや共謀、指示はなかったとして組織的な不正は否定している。
不正があったのは今年6月までにあった3件の業務システム開発の入札。3人は予定価格算定の基礎となる情報や事業者の評価に関わる情報などを富士通に伝えた。別の1人は業務委嘱先が富士通に情報を漏らした疑いがあることを知りながら、必要な報告を怠った。富士通からの情報提供で6月に発覚した。
問題があった入札3件のうち、他社が落札した1件を除く2件は富士通が落札したり、富士通の辞退で不調に終わったりしたため、入札を今後やり直す。(福山亜希)