タイの発電所建設をめぐり現地の公務員に約4千万円の賄賂を渡したとして、不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)の罪に問われた発電機器メーカー「三菱日立パワーシステムズ」(横浜市)の元幹部2人の初公判が25日、東京地裁であった。6月に導入された司法取引が初めて適用された事件の裁判で、取引の内容が明らかにされた。
被告の錦田冬彦・元執行役員(63)と辻美樹(よしき)・元部長(57)はともに起訴内容を認めた。司法取引に合意して東京地検特捜部の捜査に協力した法人としての同社は不起訴となっている。
この日の公判で検察側は、同社と合意した「合意内容書面」(6月28日付)の内容を説明した。同社が事件に関する一切の資料を提出する▽検察側の求めに応じて役員らを指定通りの日時に出頭させる――などの協力の見返りに、法人としての同社を起訴しないというもの。検察官と安藤健司社長、弁護人が合意書面に署名したという。
冒頭陳述によると、2人は2015年2月、トラブル解決のため、タイ運輸省港湾局幹部に現地通貨で3993万円相当の賄賂を提供。2人から支払いの相談を受けた内田聡・元常務執行役員(64)=同罪で起訴=は「仕方ないな」と了承したという。同社は同年3月に不正を把握し、特捜部に申告したという。
司法取引は、末端の協力を得て…