政府は28日に開いた関係閣僚会合で、低所得者世帯の子どもを対象に2020年度から始める高等教育の負担軽減策の詳細を決めた。授業料を減免するほか、生活費などをまかなう給付型奨学金を支給することが柱で、住民税非課税世帯(年収270万円未満)の学生が私立の大学や専門学校に通う場合、下宿生なら年約91万円、自宅生なら約46万円、国公立の場合は下宿生なら約80万円、自宅生なら約35万円を受け取れるようになる。
給付型奨学金は現在、最高で年間48万円で、対象の人数と額が大きく拡充されることになる。食費や受験料のほか、下宿生の家賃や学校納付金の支払いにも使われることを想定している。授業料減免と給付型奨学金について、年収270万以上300万円未満の世帯は非課税世帯の3分の2、300万以上380万円未満は3分の1の支援を受けられるようになる。
現在、380万円未満の世帯の子どもの高等教育機関への進学率は4割程度で、政府は今回の負担軽減策によって、上昇することを期待している。柴山昌彦文部科学相は28日の会見で「所得の格差が教育に及ばないことが重要だ。法整備を着実に進めて、しっかりと実現できるように取り組みたい」と述べた。関連法案は来年の通常国会に法案を提出する方針という。
文科省の試算によると、進学率が全世帯平均の8割まで上昇すると、国と地方で合わせて年7600億円の財源が必要になる。(増谷文生)