今春、ひとりの米国人男性が中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に解雇された。今月1日に同社の孟晩舟副会長がカナダで逮捕されるに至る背景を、同社内部の最前線から見てきた人物だった。
その実態は、人工知能(AI)など次世代技術をめぐる米中の覇権争いそのものだった。自動運転に遠隔手術、そしてドローン。AIが大量の情報をやりとりするのに欠かせない移動通信の基幹インフラ「5G」をめぐる攻防である。
その人物は、ウィリアム・プラマー氏(54)。米外交官からフィンランドの同業ノキア幹部を経て、2010年に華為のワシントン事務所に移った。渉外責任者として米当局やメディア相手に渡り合った。
華為は中国政府の手先なのでは――。当時すでに、疑念は広がっていた。
逆風を強めたのは、米下院情報…