日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が私的な投資で生じた損失を日産に付け替えたなどとして逮捕された特別背任事件で、東京地裁は31日、前会長の勾留を1月2日から11日まで10日間延長する決定を出した。
ゴーン前会長、取り調べ年末年始も 年越しはカップ麺で
カルロス・ゴーン もたらした光と影
東京地検特捜部が12月21日に会社法違反(特別背任)容疑で再逮捕し、地裁が10日間の勾留を認めていた。元日が期限だったため、検察側が勾留の延長を求め、地裁がこれを認めた。逮捕されてから、身柄の拘束は少なくとも54日間続く見通しになった。
特捜部がゴーン前会長を最初に逮捕したのは11月19日。5年分の役員報酬を過少記載した金融商品取引法違反の罪で12月10日に起訴し、同日、3年分の過少記載容疑で再逮捕した。20日に勾留延長の請求が却下された際には早期保釈の観測も出たが、特捜部は特別背任容疑で21日に再逮捕していた。
ゴーン前会長は2008年10月、私的な投資で約18億5千万円の評価損が生じた契約を日産に移したとされる。また契約を自らに戻す際に協力したサウジアラビアの実業家ハリド・ジュファリ氏に対し、09年6月~12年3月、計1470万ドル(現在のレートで約16億円)を送金した疑いがある。
ゴーン前会長は「一時的に日産の信用力を担保として借りただけで、損害を与えていない」と容疑を否認。約16億円の送金についても、現地の販売店のトラブル処理や王族へのロビー活動への「正当な対価だった」としている。