秋田県男鹿市の大みそかの伝統行事、男鹿のナマハゲが11月29日、ユネスコ無形文化遺産に登録されることが決まった。2011年に続く2度目の挑戦が実った。「来訪神」として8県の10行事が同時に登録されたが、中でもナマハゲの知名度は登録前から全国区。特に注目を集めた。 ナマハゲ・アマメハギ…「来訪神」無形文化遺産に決定 ナマハゲやアマメハギが結集、喜びの会見 無形文化遺産 だが、取材で出会ったナマハゲ関係者は口々に言った。「全国に知られているのはナマハゲの本当の姿ではない」「ナマハゲは地域に根ざしたしきたり。地元の人にとってどういう存在かを知ってほしい」 身に覚えがある。15年ほど前、東京都の小学生だった私はテレビ番組でナマハゲの存在を知った。真っ赤な恐ろしい顔で刃物を持ち、「泣く子はいねがー」と叫ぶ。「そんな格好で来たら、誰だって泣く」と思い、ただ怖い存在として記憶していた。 印象的な外見や子どもを泣かせる様子が一人歩きし、「虐待ではないか」などと批判されることもしばしばだ。ナマハゲの正体が「神の化身」または「神の使い」であることは、意外と浸透していない。 「本当のナマハゲ」を知らない人は、地元でも増えている。「迎え入れる準備が面倒」「大みそかにゆっくりできない」と、ナマハゲを迎える家は減っている。悪霊を大声を上げて追い払い、新しい年の福を呼び込むという根本的な存在意義が揺らいでいる。 今回の無形文化遺産登録を追い風に、男鹿市観光協会は「本当のナマハゲ」のPRに乗り出した。 大みそかに市内の集落で実際のナマハゲ行事を体験できる「プレミアムツアー」を企画。1泊付きと日帰りの2コースで定員は計30人だが、希望すればナマハゲになれるとあって、募集開始から4日で締め切られた。ツアーではナマハゲが神社でおはらいを受けるところから同行する。「行事の本質を見られる機会としたい」と担当者。申し込みの多くは、東京都や埼玉県など県外からという。 ところで「本当のナマハゲ」とは何だろうか。地元関係者から返ってきた答えは「地域を結束させるもの」「子どもの教育」「来年を健康に過ごさせてもらえる」と様々。どこか抽象的でもある。ナマハゲは、一人一人の生活と密接に結びつく。その思いまでを本当の意味で理解するのは、体感しない限り難しいのかもしれない。 大みそか、いよいよ本番を迎える。私もナマハゲに会いに行こう。(野城千穂) |
ナマハゲは言った「これが本当の姿ではない」きょう本番
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