韓国大法院(最高裁)が昨年10月、元徴用工訴訟で新日鉄住金に賠償を命じた問題で、原告代理人の弁護士は2日、同社の韓国内資産の差し押さえを大邱(テグ)地裁浦項支部に申請したと発表した。日本政府は1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場だが、韓国政府は具体的な対応策を打ち出していない。差し押さえとなれば日本政府も対応せざるをえず、日韓関係が悪化するおそれもある。
弁護士によると、原告側は賠償支払いをめぐる協議を同社に求めていたが、期限とした昨年12月24日までに回答が得られなかったとし、原告2人が31日に差し押さえを申請した。原告側は「新日鉄住金は判決の履行に誠意を示していない」と強い遺憾の意を表明。日本政府にも「判決に従わないよう企業に圧力をかけている」と批判した。
元徴用工訴訟、日本企業に賠償命じる初判断 韓国最高裁
差し押さえ申請の対象となる資産は、新日鉄住金が韓国の鉄鋼大手ポスコと合弁で設立したリサイクル会社PNRの株式。新日鉄住金は全体の約3割にあたる約234万株を持っており、110億ウォン(約11億円)相当となる。大法院の判決は新日鉄住金に、元徴用工ら4人へそれぞれ1億ウォン(約1千万円)ずつの賠償を命じている。
原告側の弁護士によれば、株式を対象にした差し押さえ申請の際、普通は併せて行う「株式売却命令」申請は行わなかった。新日鉄住金に、被害者の救済のため一日も早く協議に臨むことを求める狙いだという。原告側は同社に判決の履行のほか、被害者への謝罪なども行うよう求めた。
韓国政府関係者によれば、裁判所が差し押さえ可能な財産を確認して執行するまで8~10日ほどかかるという。
韓国政府はこれまで、徴用工問…