今季から中日の指揮を執る与田剛監督(53)が、6年連続Bクラスに沈むチームの再建に取り組む。1990年代前半に中日の抑え役として活躍した指揮官は、どんな青写真を描いているのか。自身が目指す指導者像を含め、抱負を語ってもらった。(鷹見正之、上山浩也)
――昨秋のキャンプは精力的に動いた。何か感じたことは。
「投手ならば球速や球種、野手ではスイングスピードを感じたほか、飛距離、得手不得手のコースといったところ。まだ何となくですが、性格的な情報も得ることが出来たと思う」
「個々の能力が低い」
――6年連続Bクラスの中日をどう見ていたのか。
「結果が出せないということは当然、個々の能力が低いと思う。優勝するチームは戦略だけ、戦術だけでは絶対に勝てない。それを実行できる能力の高い選手がいないと始まらない。まず選手たちが自分たちのことをしっかり知るということが大事だと感じる」
――就任してすぐに複数ポジションを提唱した。狙いは。
「単純に自分の可能性を広げて欲しい。それだけです。打力がいい選手がいても他のところが守れないとか。そういう制限がでることが嫌なんです。極端に言えば、内外野も動けるようになってくれたら。足が速い選手なんかは外野手ができればいいわけですし、枠を作りたくはない」
――選手もチャンスがあるのではと思うのでは。
「思ってくれたらいいが(笑)。自分の可能性が広がれば、何だ俺はこんなことも出来るじゃないかと。やらず嫌いで終わってしまうと、やりもしないのに、いやちょっと無理だと思いますとかね。野球だけに限らず、そういう人間にはなって欲しくはない」
――言葉を通じて意識改革を図っているのか。
「元々の意識は知らない中で、自分の気持ちを伝えている状況。それが受ける選手たちにとっては『この人、とんでもないことを言っているな』と思う選手もいるかもしれないし、もしかしたら、同じような気持ちでいる子もいるかもしれない。そこは投げかけながら反応を見る、ということをやっています」
――目指す先発ローテーションは。
「理想は全部いい投手で6枚欲しい(笑)。候補は9枚欲しい。なかなかそうはいかないので、まずは開幕から3本柱をぶつけられるような、エース同士をぶつけ合えるようなローテを組めたらいいなと思う」
――昨季はブルペンが踏ん張れなかった。
「単純にブルペンの防御率、チーム防御率は、その数字だけが物語っているわけではない。先発が規定投球回数を投げられるような、1イニングでも一人でも多く投げられる先発がいないと、毎試合リリーフに負荷がかかる。いい状態で投げられなければ、点も取られる。どういう状況で投げさせるかというのは大きな問題。そのためにも先発投手の整備が一番です」
――松坂への期…