中米グアテマラの政府は7日、汚職などの調査をするための国連機関「グアテマラ無処罰問題対策国際委員会」を廃止すると一方的に通告した。同委員会は昨年、モラレス大統領の不正な選挙資金疑惑を告発し、大統領側が「内政干渉だ」などと反発していた。
委員会はグアテマラ政府の合意を受けて設置され、2007年から汚職や組織犯罪などを調査してきた。昨年8月にグアテマラ検察当局とともに、モラレス大統領の選挙資金に不正の疑いがあると告発し、裁判所に捜査着手の許可を求めていた。
これに対し、モラレス大統領は、国連が任命した委員会トップの国外追放を命じるなどしたため、関係が悪化していた。
7日に演説で廃止を発表したモラレス大統領は「委員会の活動はグアテマラ市民の人権を侵した」と述べた。
一方、国連のグテーレス事務総長は声明を発表し、「グアテマラ政府が義務を果たすことを期待する」と廃止の撤回を求めた。
グアテマラなど中米諸国では汚職が蔓延(まんえん)。政治家と犯罪組織との癒着が治安悪化にもつながっている。こうした状況から逃れるため、昨年10月に始まった、米国境をめざす「移民キャラバン」にはグアテマラ人も加わっている。(サンパウロ=岡田玄)